P.K.G. MAGAZINE | パッケージを考える

COLUMN

日本らしく外国人が買いたい食品パッケージとは?

2018.03.06
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近年世界は均質化してきており競争は国内だけではなく世界規模で行われています。その中で日本食は海外において好意的に捉えられています。わたしがロンドンに留学していた2014-15年においても、本格的な和食屋さん、和食の要素を取り入れたヨーロッパ料理、ヘルシーなファースト寿司店など様々な和食レストランを体験することができました。一方、スーパーに行くと中華やタイなど他のアジアン料理の方が幅をきかせているという印象があり、たまに和食を見つけても日本のメーカーのものではないことがほとんどでした。流通の問題などクリアしなければいけない問題は多々ありますが、パッケージデザイナーとして、海外スーパーの棚で日本人が見ても違和感がなく外国人にも魅力的な和食のデザインを考察してみたいと調査を行いました。

どんな食品パッケージがすでにあるのか


企業が国外に進出しようと思った時、すでにその国で確立されたブランドを用いるか、販売国の嗜好に合わせるかという選択をすることになります。ブランディングの観点から言えば国内も国外も一貫したビジュアルにすることが好ましいですが、食品は電化製品や車よりもローカル文化の影響を強く受け、なおかつ保守的な領域なのが難しいところです。2015年時点で日本企業が海外市場向けに販売している商品を見てみました。明治のたけのこの里はCHOCOCONES と名前を変えています。一方で味の素のCOOK DOは日本で売られているパッケージとほぼ同じ構成です。

どんな色が使われているのか


次にロンドンの和食レストランのウェブサイト・店舗およびスーパーに売られている和食(主にSUSHI)を観察し、どのような色が使われているのか調べました。国旗の色である赤・白はもちろん、黒が多く使用されているのが特徴的でした。本格的な和食レストランでは木が多く使用されていることもあり、茶の印象も受けます。またSUSHIはヘルシーというイメージも強いため緑もよく使用されています。同じ寿司店でも職人に握ってもらうZUMA と回転寿司のYO SUSHIではイメージがかなり違います。

外国人が持つ日本のイメージは?

日本に関する本からキーワードを拾い出し、ロンドンの大学院に留学中の外国人25-30歳にマッピングしてもらうワークショップを行いました。グループを東-東南アジアのタイ人と韓国人(グループ1)、ヨーロッパの文化が強いギリシャ、マケドニア、イギリス、インド人(グループ2)にわけ、それぞれのグループで何がピンとくるか雑談してもらいながら順位をつけてもらいます。その結果、グループ1ではZEN、FujiやUkiyoeなどの伝統的なイメージを強く持っていたのに対し、グループ2ではAnimationやGameなどポップカルチャーの印象が強いことがわかりました。


次に彼らに日本の文化やビジュアルを紹介する本の表紙を見てもらい、どれに日本を感じるか順位をつけてもらいました。キーワードのワークショップと同じく、グループ2はポップなものが上位に入りました。グループ1では伝統的というよりシンプルなもの、日本人のわたしから見てもモダンなものが上位に入りました。


では食品パッケージになるとどうなのでしょう。知名度の高い和食であるMISO SOUPのパッケージを見せ、今度は日本関係なくどれを買いたいか順位をつけてもらいました。上位3つのうち2つは両グループで同じものでした。グループ1で一番に選ばれたデザインは実は日本国内向けのパッケージですが、力強いゴシック体がとても日本らしくて良い、湯気がおいしそうという評価でした。一方、グループ2では病院食のようでおいしそうではないという意見が出ました。2番目に選ばれたものはとにかく写真が美味しそう、シンプルな色が写真を引き立てているという評価で一致。グループ2で一番に選ばれたものはベージュ色、空間、日本語の文字が本格的で美味しそうだということでした。

次にタイ人と韓国人(グループA)ギリシャ人とイギリス人(グループB) とそれぞれアジア系スーパーのインスタントラーメン売り場に行き、インタビューを行いました。日本から輸入されたもの、香港から輸入された日本メーカーのもの、タイや韓国、インドネシアのメーカーのものなど色々ある中で何が際立って見えるのか、実際購買する立場になった時に何を見ているのかヒントを得るためです。意外だったのが、先のキーワード及び本の表紙並び替えワークショップでポップカルチャー寄りだったグループBのヨーロッパ人たちが購買意欲を持ったのがトラディショナルな見栄えのものだったこと。ポップなものは子ども向けの商品に見えるという理由でした。彼らはメーカーの違いはわからないし文字は読めないけれどなんとなく日本語の見栄えはわかるようです。服飾ブランドのSuperdryやアニメーションで馴染みがあるのかもしれません。

日本らしく、外国人が買いたい食品パッケージを作ってみる

以上をふまえ実際にインスタントラーメンのパッケージデザインを7つ作ってみてアンケート形式で外国人に日本を感じるもの、買いたいものをそれぞれ聞いてみました。73人の回答を得た結果、最もポジティブだったものはベージュの背景にアシンメトリーにレイアウトされた伝統的見栄えのパッケージ(Design1)でした。写真がないものとキャラクターの入ったものは、日本を感じるが購買意欲が低いという結果でした。意外にもよく使われていた色であるはずの黒は日本らしさ・購買意欲ともにあまり高くないという結果でした。

日本らしく外国人が買いたい食品パッケージの要素

調査を経て食品パッケージにおいて打ち出すべき日本らしさは伝統的な本格感なのだとわかりました。日本語の文字は読めずとも本格感を演出する要素にはなるようです。アシンメトリーで間を持たせるレイアウトも商品及び売り場によっては目立つ要因になるかもしれません。ベージュという色は当初あまりわたしの頭にはありませんでしたが、ワークショップ・店頭でのインタビュー・アンケートでも日本の色として外国人に認識されていることがわかりました。禅やわびさびといった静的なイメージと結びついているのかもしれません。ベージュはたいていの食品の美味しさを邪魔しない色なので、今後機会があればトライしてみたいなと思います。

P.K.G.Tokyo :中澤亜衣

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