P.K.G. MAGAZINE | パッケージを考える

NEWS

「TARP to TARP」がオープンしました!

P.K.G.Tokyoがロゴやグッズデザインなどに携わらせていただいたアウトドアブランド「TARP to TARP」ショップが5月10日よりグランドオープンしました。
TARP to TARPは名前の通り、キャンプのタープ。TARP to TARPではタープとタープをつなぐように、キャンプ好きな人と人とがつながるカフェです。

ショップは横浜・馬車道駅から徒歩5分ほどのビルの2F。

さっそく中に入ると、コルクの壁にグレイッシュな板。アウトドアを感じる素敵な店内です。

カフェの中央にはミニファイヤーがあり、よりキャンプ気分を味わえます。
子供連れの親子も多く、大きなテーブルを囲んでコロナを片手にキャンパーたちが談笑する姿が楽しそうでした。

壁にはキャンプの映像が投影されています。

私もプレオープン限定のおしゃれなピンチョスを頂きました。
キャンプに行きたくても行けない…チャレンジしてみたいけどなかなかできていない…そんな方にとって手軽にキャンプ気分を味わえるオススメの空間です。

お土産にはTARP to TARPブレンドやステッカーも頂きました。

今後はTシャツやソックス、スパイスの展開も予定しております。
キャンプ好き必見!ぜひ足を運んでみてください。

TARP to TARP
https://www.instagram.com/tarptotarp/
OPEN / WED – FRI:11AM – 8PM
CLOSED / MON & TUE

P.K.G.Tokyo:横田栞

NEWS

「濃厚 ポモドーロ、濃厚 アラビアータ」が発売されました

2019.04.26

P.K.G.Tokyoがパッケージデザインに携わらせていただいた日清製粉グループの「濃厚 ポモドーロ、濃厚 アラビアータ」が2月22日発売されました。

濃厚 ポモドーロ、濃厚 アラビアータは名前の通りとても濃厚でリッチな味わい。
イタリア産完熟トマトの旨味を楽しみながら、美容効果のあるリコピンやアスタキサンチンも美味しく摂れて特に女性には嬉しいパスタソースです。

トマト好きにはたまらない逸品です!
皆さんもぜひお試しください。

● 濃厚 ポモドーロ 140g
● 濃厚 アラビアータ 140g

https://nisshin-foods.jp/mama/lp/tomato.html

P.K.G.Tokyo : 横田栞

COLUMN

デザインがもたらすブランドの化学反応

2018.05.25
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もので溢れかえる昨今、単純に生み出した商品やサービスを世に送り出すだけでは、結果が伴わないことは言うまでもありません。各社、独自性を追求してみたり、潜在ニーズを掘り起こしてみたりと、あらゆる差別化を計って生き残っていける新商品を開発しています。しかし飽和した社会でブランドとして定着していくには根気と投資が必要で、なかなか思うようにいかないのが現実のようです。

検索すればあっさり出て来ますが「ブランド」の語源は、家畜に押されていた焼印がルーツだということは有名な話。「〇〇印がついてるから間違いない」と、焼印はいつしか品質を約束する証になっていったのだろうと容易に想像ができます。現代において焼印はロゴマークに置き換わり、人はそこに「品質」に対する信用をみます。このことからもわかるように、重要なのはエンドユーザーがロイヤリティを持つのは「ロゴマーク」にではなく「品質」であるということ。ここでいう「品質」はデザインやコミュニケーションも内包した大きな意味での「品質」ですが、核になっているのは、ものやサービスの純粋な「クオリティ」です。ロゴマークはあくまでも門構えに過ぎません。美味しいからまた買う。使いやすいからまた買う。常に私に向けてくれるからまた買う。このように、当たり前の話ですがデザインの良し悪しのみでロイヤリティが生まれるわけではなく、その商品やサービスが持つ質にこそ、ブランドとなりうるポテンシャルがあるということです。

ブランドの核は「品質」。当然なのに忘れがちなことです。その上でデザインという行為が果たすべき役割とは何でしょうか。ブランディングを自分なりに意訳するなら、抽象的ですが「盤石にしていくこと。盤石を保つためにするべきこと」だと考えています。ブランディングは決してかっこいいロゴマークを作って商品数を増やすことではないし、見た目を良くしてそれっぽくすることでもありません。自分自身、技術に頼って陥りがちな当たり前の落とし穴ですが、兎角そうなりがちです。しかし「盤石にする」と言っても、当然そこまでの道のりは決して簡単ではないもの。知ってもらい、信用してもらい、買ってもらい、満足してもらう。これで1サイクル。このスパイラルを何周もして、ようやくブランドロイヤリティを確立できたと言えます。そこまで成熟するにはとても時間のかかることで、エンドユーザーにとってもその費やした時間とお金の分だけ、信用できるブランドであるということではないでしょうか。

そうなるまでには、当然そのプロセスの全工程での努力が必要です。品質に自信のある企業は当然、正攻法の「知ってもらう努力」から始めるでしょう。しかし、それだけで完結しては連動性が持てず「知ってもらったはいいが選ばれない」ということも。「広告はよく見るなあ」なんてよく聞く言葉です。人は自分に向けられているとわかっていても、信用というプロセスを経ないと、その次の購入というプロセスに移行できない。そしてこの信用というフェーズで一番力を発揮するのが、デザインというプレゼンテーションなのではないでしょうか。いきなりライターで炭に火をつけることができないように、ブランドを確固たるものにしていくには、周到な準備と各フェーズでの努力が連動していくことが必要なのだと感じます。

職業柄、日々デザインとブランドの関係性について考えます。ブランドの核が「品質」なのであれば、極論を言ってしまえばデザインはブランドを促進させるためのツールなのではないか。もっと言えばブランド確立の各フェーズにおいて必要な、活性剤のようなもので、かつエンドユーザーとブランドの核たる「品質」を次のフェーズにつなぐ、架け橋のような存在なのではないかと。デザインは「品質」と混ざり合い、ブランドという形のない大きなものに変化していきます。一概に言えないかもしれませんが、少なくともブランドが成長していくスパイラルの中で、デザインだけを切り離して考えられない存在であることは明確です。ブランディングにおいては、デザインは後付けの解決策ではなく、周到な準備として必要なものだと考えています。

P.K.G.Tokyo ディレクター:柚山哲平

INTERVIEW

東京土産ブランドをつくりたい。「GIANDINO」後編

2018.01.27

株式会社エーデルワイスが新たに立ち上げた
東京土産ブランド『GIANDINO』。
そのパッケージデザインを手がけたP.K.G.Tokyoが
パッケージデザインの開発経緯についてクライアントと語り合う。

GIANDINO 【前編】はこちら >

株式会社エーデルワイス
執行役員 商品本部 副本部長
地引 浩司氏

株式会社エーデルワイス
営業本部 新規開発室 課長
後藤 久輝氏

P.K.G.Tokyo
天野 和俊
柚山 哲平
中澤 亜衣

インタビュアー
神野 芳郎

デザインのキーワードはストライプだった

−ネーミングも決まって、いよいよデザインですね。

柚山:その頃には、商品自体もフィニッシュに近い状態で、クッキーの形に似た帽子をイメージに取り込んだ案や、キャラクター性を持たせるために、小鳥をモチーフにして、その小鳥がジャンドゥーヤの素材であるヘーゼルナッツを運んできているイメージの案もありました。

あのお土産物の激戦区の中で、どうやってパッケージとしてアピールするのか、私たちにとっても大きな課題でした。その一つのアイデアとしてキーワードになったのがストライプ。実際にパッケージを立体化して、いろんな案と並べてみたとき、「これだけ太い赤白のパッケージって目立つね」という話になり、それを品良く仕上げていこうと思いました。

中澤:デザインの段階から後藤さんも加わってくださいましたね。

天野:後藤さんは、売り場のことを本当に知っていらっしゃるので、どうやったら売れるかを常々考えていましたよね。

柚山:後藤さんに入っていただいたおかげで、ある意味リアルな声がパッケージに反映されたと思っています。デザインが派手すぎるのかどうか、その議論はよくしましたね。
まだまだ『GIANDINO』は、売り場の声をピックアップして、良い所を残しながら変えていく必要もあると思うんですよね。
それはもしかしたら、パッケージだけの話じゃなくて、味だったりもするかもしれないですが。

後藤:今のデザインでさえ私には派手すぎて「恥ずかしい」とか言いましたもんね…。

柚山:「ターゲットとなるサラリーマンがこの箱を持って恥ずかしいと感じるかどうか」、そこは、いろいろと議論した点ですね。

後藤:派手さというか、スーツを着てビジネスバッグを持ったお客様がどう感じるか。ずっとイメージをしています。

柚山:箱の大きさも議論になったんですよ。大きすぎると荷物になるじゃないですか。お土産という手前、やっぱりあんまり大きい荷物をお客さんに運ばせたくないのもあって、どのサイズがベストなんだろうって。
技術的にクッキーがつぶれないように個包装してセットにすると、このサイズになります。その大きさを目立つ面積が広くなったとポジティブに捉えて、楽しいものを買って帰ってきたという気分を感じてもらえるようにデザインしました。

天野:いただいてみませんか?

インタビュアー:わぁ!うれしいです!

後藤:『ナッティーショコラクッキー』がメインなので、こちらからぜひ。
インタビュアー:個包装もオシャレですね。程よい品を感じます。

柚山:実はエーデルワイスの深田さんのご意見が、大きなウエートを占めていて。今回の企画のリーダーである上に、デザインの細部にいたっても女性らしい繊細さを視点に意見してくださったので、本当にいいコラボレーションができたと思っています。

インタビュアー:ちょっと贈りものにできそうな感じがうれしいと思います。

天野:実は我が家で話していたんですが、冷蔵庫で冷やして食べたらおいしかった。口の中に入れると溶けておいしかったそうです。もしかしたら、そういう食べ方をお勧めするのもありなのかも。

後藤:本当ですね。それは実際にちょっと売り場でしましたね。販売当初は、本当に暑かったんで。

インタビュアー:お子さまが食べても、大人が食べてもちょうどいい。

後藤:そうですね。

インタビュアー:イタリアにはアベリティーボっていう、ちょっと食事の前に軽く一杯って食文化があるから、チョコレートでお酒を楽しんでもよさそう。

検証された最適なストライプ

−デザインの最終提案は、どれぐらいの数まで絞れたんですか?

柚山:最初は5案か6案ぐらいから、ストライプというところに絞られて。その後はどういうストライプが良いか検討しました。いろいろな表現のバリエーションを経て1案に絞られていきました。

その頃『ナッティーショコラクッキー』だけでなく、もう1タイプあった方がいいよねという話があって、『ナッティーブラウニー』には、どんな表現が良いか検討を始めました。

−特徴的な太さと、うまく調和が取れたストライプだと思います。このストライプの太さというのは、ずいぶん差があったんでしょうか?

柚山:かなりの数の検証を繰り返して、この大きさに決めました。箱の大きさは3タイプあるんですが、実はその大きさに関わらず、個包装など全て同じストライプの幅になっているんです。それは棚に積んだときに、統一感と一体感をつくりだすためです。なので、太すぎてもいけないし、細すぎてもいけない。その視点で適切なストライプの太さを探しましたね。青いストライプの案やもっと細かいストライプの案もあったんですが、最終的にはこの紅白に落ち着きました。

天野:どの大きさの箱が一番売れますか?

後藤:やっぱり小さい箱が売れますね。お土産と自分用でしょう。

柚山:地引さんたちは、何を決め手にこのデザインを選ばれたんですか?

地引:普段百貨店で販売しているギフトって、売場で平積みして置いておくことがないんですよね。ショーケースに蓋の開いた状態で斜めになって、イメージを作って、選んでいただくというのが基本なんです。

百貨店のようにテナントとして目立たせるのではなく、土産売場で箱がパッと積まれたときに、どれだけ視認性として目立てるかを一番のポイントだと思っていましたから、いろんなご提案いただいたデザインの箱を重ねて、横から見てみたらどれが一番目立つだろうって考えたりしました。だから、このストライプに決まってからも、側面のストライプ柄もいろいろ検証しましたよね。

柚山:デザイン的な観点でいえば、ストライプの量というのを気にしていて。これは店舗を開発するときにも、どこまでストライプというものを表に出していくのかというのは、常に天野と僕との中でも議論の対象にはなっていたんですよ。あんまりストライプというのを強く出しすぎると、下品とまでは言わないんですが、やっぱりちょっとキャラクターが変わってきてしまうというのがあって。上品な使い方というのはどのラインなのか、目立たなきゃいけないんだけれども、あまり派手すぎず。それでもやっぱり控えめにならないようにという量は、デザインサイドではかなり検証していた部分かなと思います。

天野:皆さん、第一印象はストライプが良かったんですよね。

中澤:営業さんというのは、やっぱり違うなあと思いながらも、結果的にエーデルワイスの皆さんがストライプが良いと言っていたのが、すごく印象的だったんです。見栄えが、すごく鮮やかに見えたんでしょうね。

地引:実は好みだけでいったら、「これ、格好いいな」というような別案があったんですよ。

地引:海外の免税店で売っていてもおかしくないようなデザインの。

柚山:ありましたね。

後藤:「でも、これが積み上げられていて、はたして本当に売れるんだろうか」と考えたときに、最終的な選択肢としてストライプになったんだと思います。

柚山:このストライプが今後どういうふうに使われていくのか。認知度が上がっていくと同時に抑えていくのか、逆にもっと積極的に使っていくのかは、今後次第ですね。いずれにしてもポジティブに変化をしていくことになるとは思いますが。

柚山:ちゃんと「おしゃれだな」と思える範囲での派手さが大切ですね。私もそうですが日本のビジネスマンは、みんな黒やグレー、紺色のスーツだったりと無難な選択をする方が多い。だからお土産を買うときぐらいは「楽し気なものを選ぼう」という意識になるデザインを目指しました。

インタビュアー:パッケージデザインの赤色の選び方が絶妙だと思います。

柚山:やはり、おいしそう、たのしく見える、月並みですがそんなことを考えると赤に行き着く。ところが意外と東京土産のジャンルで赤を使っているものがほとんどなかったんですよ。赤のような強い色を使うってチャレンジな面もあるので、他社があまり挑戦したがらなかったのかもしれませんね。

心が動くロゴデザイン

−GIANDINOのロゴデザインは?

天野:深田さんからいただいたイメージボードの世界観と、ナッツのコロンとした感じが、ちょうど合うんじゃないかと思って書体を選びました。

柚山:ちょっとレトロなんだけど古臭く感じなかったり、イタリアらしくて可愛げがあったりというような、書体や写真をたくさん集めてくれたイメージボードでした。そのイメージに沿った書体を天野とセレクトして、最終的には私がパッケージに落とし込み、ブラッシュアップするというプロセスでしたね。クライアントサイドから受け取ったバトンを持って、私たちのほうでゴールしているという感じですかね。

天野:やっぱり深田さんの強い思いが出ている。最初から最後まで、深田さんのペースに、我々が乗っているような感じではありましたね。

柚山:パッケージ用紙のクラフトっぽさを推していただいたのも深田さんでした。『ナッティーブラウニー』も、クラフトを積極的に使っているんですけど、カジュアルさをうまく表現できていると思います。

天野:ショッパーとかはどうですか?

後藤:紙袋は「おっ」っていう反応が男性からありました。

天野:今回あえてストライプにはしませんでした。

柚山:私のまわりでも紙袋の評価は高いですね。『ナッティーブラウニー』のようにストライプではない商品が増えたことによって、ブランドに奥行きが出たのではないでしょうか。

インタビュアー:おみやげでこのクオリティーに出会えるのは、うれしいと思いますね。

後藤:男性はブラウニー、女性はクッキーを選ぶ傾向。

インタビュアー:お菓子の流行は?

地引:お菓子業界的には、半生系より、クッキー系だよね。

中澤:半生の時代は終わりつつあるのですね。

P.K.G.Tokyoとのパートナーシップ

−『GIANDINO』が始まって、社内の反応はどうですか?

地引:正直いろんな意見があります。ただ、他社でやっているものと同じことをしても、出てくる答えって、期待以上のものにはならないんじゃないかという思いが強かったんですね。

『GIANDINO』をきっかけに、いろんな見方をしてくれる社内の人が増えているんで、それは良かったなと思います。

天野:もしかしたらいい意味で、御社のブランド戦略に変化を与えるかもしれないですね。

柚山:株式会社ジャンディーノとして、独立したもう一つの顔を持つということは、今後良い面も出て来るでしょうね。今までのエーデルワイスブランドに新しい切り口が加わったと、社員の皆さんが思っていただけると、この商品としても生まれた価値があったのかなという気がします。

−発売されて、まだ本当に間もないんですよね?

後藤:まだ40日(取材時)ですね。売場の販売員の方やお客さんからの反応もありますので、これからが楽しみですね。

柚山:「できました、ここで終わりです」なんていうことは絶対にないので、いい意味で変化していかなきゃいけない。チャンネルを合わすみたいに、自分たちの思惑と違ったベクトルをちょっとずつ合わせていくプロセスは、当然発生していくだろうなという気はします。

インタビュアー:そうですね。また、売場は違えどデパートでも、「エーデルワイスのこのパッケージが」みたいなお声も聞こえるようになってくるとうれしいですね。今後の展望についてお聞かせください。

地引:3年後にはそれなりの売上げを目指しています。

天野:そのためには何が必要か。私たちに何ができるか。次のアクションを起こさないといけませんね。

地引:やっぱりその辺は、来期からアクションを起こさないといけないですよね。もしかしたら高価格帯が必要なのかもしれませんしね。手土産というよりも、贈答品価格として3,000円、5,000円価格ですね。

柚山:企画段階から入って、いろいろチャレンジしてみたいですね。今後もし新商品を開発するタイミングがあれば、もっと本能的に買いたくなるような、商品自体の見た目を開発できたら面白いなと思います。それを踏まえた上で、パッケージ開発というタイミングがあれば面白いですね。

インタビュアー:あと売場の確保という面では、大変だったりはするんですか? 新商品を、お土産の所に置くというのは。

後藤:もう激戦で、すごく大変ですね。1つの場所に本当に10社ぐらいが競合するんで、そう簡単には取れないですよね。味がおいしいかはもちろん、パッケージも含めた見た目が本当に大事ですよね。

天野:売り場は羽田空港から始まって、先日は東京駅の京葉ストリート、東京スカイツリーのソラマチ、品川と続きます。

天野:エーデルワイスさんにお声かけいただいて、デザインの手前から一緒に取り組ませていただいた。本当にいいプロジェクトでした。

地引:まだ生まれたてで今後は、出店の仕方だったり、常設店だったり、微妙に方向性が変わってくることもあると思う。もしかしたら大人っぽくなるかもしれないし、逆もあるかもしれない。売上、お客様の声、出店している運営管理側の方のご意見だったりを、どう進化させられるか。もう立ち上げたからにはがんばらないと。

天野:東京土産からはじまっているが、ジャンドゥーヤというカテゴリーを広げていくということもあるかもしれない。生まれてしまったものが育っていくように、ぼくらがサポートできればうれしいです。

−ありがとうございました。

COLUMN

現代のデザイナーはフィニッシュも手がけるコンサルタント。

2018.01.21

◎デザイナーが商品開発に参加する意義

皆さんは「鑑賞教育」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。もしかしたら初めて耳にする方も多いかもしれません。それは、図工や美術のように技術的なことを学んだり表現したりするのではなく、美術作品を「観る」行為を通して、観察力や洞察力、その作品を自分なりに論ずるなどのコミュニケーション能力を養うカリキュラムのことです。
私が初めてこの言葉を知ったのは美術出版エディケーショナル(当時は美術出版サービスセンター)さんの教材のお仕事でした。当時、「鑑賞教育」というものに特化した商品はほとんど存在せず、それらを実践していく学校の先生方も、どうやって授業をすればいいのか手探りの状態でした。生徒に美術作品を見せようにも、近くに美術館がある地域ばかりではなく、ニーズとして「鑑賞教育教材」が求められているにもかかわらず、それに応える商品がない。そうしたニーズを背景に、「鑑賞教育教材」の商品開発がスタートすることになったのです。

当初、私が受けた依頼を端的に言えば「教材用カードとその使用マニュアルをファイルのようなものに入れ書店等で販売したいので、その表紙をデザインしてほしい」というものでした。その時に感じたのはオーダーの難しさと商品のポテンシャル、そして担当の方々の開発に対する熱量でした。いただいたお話は限られた予算の中、せめてちゃんとした格好をさせて送り出してあげたいという親心のような気持ちから、何とか表紙だけでもデザインしてくれないかというお話だったと思います。

しかし逆に言えば表紙だけという制約は難しい。表紙だけ取り繕ったところで、そのポテンシャルを埋もれさせてしまう表面的なものになりやしないだろうかとも感じていました。見た目を美しく整えるスキルを期待されることは嬉しくもあるのですが、本来あるべきデザイナーの役割は「答えを可視化すること」だと私は考えています。
目的を共有して、霧を晴らし、ここがゴールですよとフラッグを立てるのが仕事。(厳密に言えばゴールではなくスタートポジションなのですが)「一度、こちらで考えさせていただけませんか?」。こういった経緯で「鑑賞教育教材」の商品化をテーマに、自分なりの回答を提案することとなります。

まず最初に着手するのはネーミングです。ブランディングにおいてネーミングは、最もはじめに決めなければいけない最も重要なこと。思案の結果「SCOPE」という名前に決めました。鑑賞教育のテーマは「観る」。ただ漫然と絵を見るのではなく顕微鏡や望遠鏡を覗き込むように、生徒が積極的にディテールを観察し、気づきを得て作品の意味を「観る」ためのスコープなのです。ちなみに、気づいた人もいるかもしれませんが、「SCOPE」のロゴタイプには「CとO」で表現した「覗き穴」を潜ませました。普通の名前が普通のロゴタイプにならないための表現上のアクセントであり、ちょっとした遊び心でもあります。名前とは不思議なもので、それが決まると「彼」のことをみんな名前で呼び出します。ネーミングとはコンセプトという中核を切り出す行為。名前をつけることで、漠としてふわふわしていたものが、急に目的を持った存在に変わるのです。

こうしてベクトルが定まれば、ここからようやく一般的に「デザイン」と呼んでいるフェーズです。このフェーズで最初に考えたのは「教材用カード(ポストカードサイズ)とその使用マニュアルをどう収納したものにするか」という課題でした。グラフィックではなく形状の課題です。当時私は、どうもファイル状になることに商品的な魅力を感じられませんでした。エンドユーザーである先生方が手にした時、何か良いものを買った時に感じる高揚感みたいなもの。ワクワクするとまではいかなくても、ちゃんとしたものを買ったという安心感。それがファイルには感じなかったからです。資料集のようなその見た目では、自分だったら本棚にしまいこんで忘れちゃうなと。
そこで私はDVDボックスのような所有感と存在感のあるパッケージにしようと考えました。スリーブボックスを棚に並べて、どうせならコンプリートしたいと思えるような統一感のある箱。もちろん「SCOPE」は教材なので学校の職員室にあってもおかしくない顔つきをしている必要がありますが、先生方も学校を出れば当然一消費者。お気に入り映画のDVDボックスを棚に飾る感覚で買ってもらいたいと考えました。ここまで決まれば、あとは紙工作の時間です。
収納されるもののサイズから逆算して箱の大きさとギミックを考え、サンプル箱の試作を繰り返しました。ちなみにサンプル段階と最終形状はほぼ同じ形で、提案段階から非常に合理的なボックスを提案することができました。

そして、この提案で最も重要だったのは「商品群」としての可能性を広げることでした。これはブランディングの醍醐味だと思うのですが、ブランドはロゴタイプ(ネーミング)を旗印に次々と商品展開をしていきます。もちろんそれはブランドとして確立されているからこそできることなのですが、「SCOPE」もある程度は最初の段階から群としてのボリュームが欲しいと感じていました。「SCOPE」は販売当初からポストカードエディションだけでなく、デジタルデータエディションがあり、実はこれもプレゼン段階から「SCOPE」を商品群化するために取り込んだものです。
このプロジェクトのお話をいただいた時にもうひとつの可能性を伺っていました。少し大人の方々は経験があるかもしれませんが、学生時代に「スライド」なるものを見たことがある方も多いのではないでしょうか。ポジフィルムをマウントに入れスクリーンに投影するアレです。プロジェクターのなかった時代は、みんなこれをカシャカシャと一枚ずつ映していました。個人的にはノスタルジックで好きですが、フィルムという媒体自体がなくなっていくことや保管の大変さから、現代の教育現場からは姿を消しました。伺ったお話は、美術作品が撮影された大量のスライドを編集して現代のメディアに対応できるようにデータ化。それを鑑賞教育教材にしていけないだろうかと考えている、というものでした。
そこで、私はその可能性を「SCOPE」に取り込み、一連の商品群としてパッケージ化することを提案しました。何となく同時平行で進行していた同じテーマの別の話。それが「SCOPE」を媒体にすることでひとつの大きな商品群として広がったのです。その商品群を一貫したトーンアンドマナーを持ったパッケージデザインとしてプレゼンテーション。霧の中、みんなが何となく探していた「答え」を、具現化できた瞬間でした。

細かなグラフィック上のこだわりやディテールの話は長くなるので割愛しますが、その後「SCOPE」は無事デビューに至ります。結果、ここまで商品然とした鑑賞教育教材がなかったこの分野で「SCOPE」はパイオニアとなりました。今では、担当の皆さんの営業努力の甲斐もあって順調に売り上げを伸ばし、看板商品のひとつとなっています。デジタルデータエディションも西洋や東洋といったカテゴリーごとにシリーズを重ね、商品として厚みのあるラインナップになりました。最終的には独自の鑑賞教育を実践できるボードゲームの開発もすることになります。(エウレカボックスの話はまた別の回で)

「SCOPE」の商品開発に川上から携われたことは、デザイナーとして非常に有意義でした。完成した商品だけを見れば、デザイナーの仕事は綺麗な箱のパッケージデザインをしただけに見えるのかもしれませんが、ネーミングや商品構成などの根幹を多くディレクションせていただき、目標の可視化をしました。また私の提案を受け入れていただいた美術出版エディケーショナルの皆さんにも感謝してやみません。デザイナーがパーツを作って納品する時代はもはや過去のもの。多面的な関わりこそがデザイナーに求められる意義なのだと感じる案件でした。

http://yuyamadesign.com/jp/project-scope.html?#project-0

P.K.G.Tokyo ディレクター:柚山哲平

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