P.K.G. MAGAZINE | パッケージを考える

REPORT

今年で20周年「ROOMs 40」。ひとりひとりのものづくりと未来。

2020.02.27


原宿駅からすぐ、代々木競技場第一体育館にて開催された「ROOMs40 感じるトレードショー」を訪れました。
クリエイティブシーンの活性化を目的とした日本最大級のクリエイティブの祭典。
ファッションやアート、デザイン、ジャンルにとらわれない500以上のブランドの出展があり、今年で開催20周年目を迎えます。

さて、受付を済ませて入場後、早速目に留まったこの言葉。

地球環境問題をクリエイティブで考える「産廃サミット」のブースです。

廃棄物を毎日60トン処理し、リサイクル率99%の産業廃棄物処分業者「株式会社ナカダイ」が参加。
廃棄物業界で培ったノウハウを生かしつつ、同時にこれまでの業界にとらわれない斬新なアイデアと
他業種とのコラボレーションで、不要とされたモノのの先を考える、
循環を前提とした社会の実現を目指されています。
様々な産業廃棄物に着目し、多くのクリエイターとのコラボレーションや
自社のショールームや工場見学を開催し「循環」について考える取組をあらゆる視点から提案しています。

ブース全体にずらりと並べられた廃棄物たちは、色も形も様々。
オンラインストアではこの様々な廃棄物を一般向けに100gから販売しています。
廃棄物=捨てること、生み出すこと=悪ではなく、
ものづくりと廃棄を通して「循環」に興味を持ってもらうこと、
作り手のデザインや技術など、多様な価値観と魅力を付加させていくことを大切にしたいと話されていました。

こちらは子供向けの教材の回路パーツの一部。

仏具の「おりん」や、

大量の洗剤のキャップなど。

廃棄物と呼んで良いのか迷ってしまうくらい、素材の美しさや面白さが際立ち、じっくりと眺めてしまいました。
社員の方も各業種で生まれる見たことのない多種多様な廃棄物に出会うことも多く、大変興味深いそうです。

つづいては、aco wrapさんのブース。
カナダで開発されたこの素材は、一見不思議なシートのようですが食品を保存するあの「ラップ」!
奄美大島で天然染色されたコットンに岐阜県のミツロウで蝋引きし、国産にこだわって作られています。


ミツロウを使っているため、レンジで温めたり温かいものを包むのは難しいですが、
お手入れに水洗いもOKで、半年から1年、繰り返し使うことが可能。
野菜やパンの保存、お皿のフタに被せて使用します。

使うたびに柔らかさが増し、まるで使い込んだ革のような風合い。
5色から選べるので、使うのも楽しそうでシンプルなパッケージ形状も素敵です。私も早速、購入しました。

また、工芸作家の方々の展示も多数あり、興味深く拝見しました。
こちらは京都で作家として活動するatelier 立夏の作品。
金沢の伝統的な手工芸、加賀ゆびぬきをベースにし、糸や布を使ったアクセサリーをひとつひとつ作られています。

こちらは、服や雑貨を作る際に出る残布や残糸を使ったリングタッセル。
本来、加賀ゆびぬきは着物を縫うには短い絹糸の残糸を使ったことが始まりだそうです。
糸ひとつも大切に使い、美しく使い手を豊かにする作品は
身に着けるこちらまで、嬉しい気持ちになりそうです。

各ブースそれぞれの方の思いやものづくりへの考え方に出会い、
SDGsやサステナブルを意識したブースの多さに驚くと共に、
これからのものづくりの在り方や未来を考えさせられる機会になりました。

常日頃ニュースや街中でサステナブルやSDGsという言葉が目にとまるようになってきましたが、
「エコ疲れ」せず、美しく面白いものづくりたちに触れながら、環境問題に取り組んでいく。
今回の展示では、日々の暮らしを改めて見直すきっかけを与えてくれたように思います。

株式会社 ナカダイ http://www.nakadai.co.jp 
株式会社 モノファクトリー https://www.monofactory.com
aco wrap https://acowrap.jp
atelier 立夏 https://threadjewelry-ricca.com

P.K.G.Tokyo : 大西 あゆみ

REPORT

「なんか、ちがう。パッケージデザインのやくわり展」に行ってきました。

2020.02.20

容器文化ミュージアムで開催されている企画展「なんか、ちがう。パッケージデザインのやくわり展」を見に行きました。
昨年12月23日から行われていた展示。
SNSでもその好評ぶりを見ておりずっと気になっていたのですが、なかなか足を運ぶことができず…。
会期ギリギリの滑り込み!間に合ってよかった〜。


容器文化ミュージアムは常設展の展示風景も素敵。
展示ブースが色々な容器の形状になっていたり、容器についたバーコードを読み取ることでその特徴を見ることができたりと、見て、触れて、楽しめる空間です。

今回の企画展は、人の記憶にある「セオリー」に着目し、実験的パッケージからパッケージデザインが人に与える印象、その可能性を逆説的に浮かび上がらせることを意図しています。
セオリーに反する組み合わせによる「なんか、ちがう」違和感と、思いがけない発想を具現化した展示品による「なんか、ちがう」魅力的なアイデアを見せています。

私が特にハッとさせられたのは様々な形状に置き換えられたお茶のパッケージ。
普段見慣れたペットボトルではなく、長靴やプラモデル、缶や瓶などに緑茶のパッケージビジュアルがプリントされています。これは「なんか、ちがう。」
パッと見たときに可愛らしい印象も見受けられますが、パッケージデザインとしてはほとんど機能していません。こうした違和感をあえて形にすることで、中身がどんなものであるか伝える際に「形状」は印象を大きく左右する要素だと実感しました。

パッケージデザインの仕事をする中で、「この製品はこの形状のボトル」「この商品ならこの色かな」と特に疑いもせずにごく当たり前にセオリーを受け入れていたのだな、と感じました。

定石を全て抑え尽くしているかというと、これがまたそういうわけでもありません。
「パッケージの中にある間違いを見つける」というクイズ形式の展示。
「パッケージデザイナーを語っているのだから全問正解を目指そう!」と意気込んだのも束の間、1問目から大混乱。半分ほど見落としていました。

答えをみると「なるほど!確かに。」と納得できるのですが、意外と多く見落としがありました。ルール自体を知らない人もいるかもしれません。デザイナーとしては知っている必要がありますが、一般の消費者はどうでしょう。多くの人が表記のルールについて知識が無く、書いてある情報について疑いを持ちにくいのではないでしょうか。だからこそ情報を記載する側、作り手側は、誤解を招く表現は避けて、明確に正しい情報を伝える責任があるのだと再認識しました。

思いがけない形を具現化した展示品のコーナーでは、機能性と外観の面白さを兼ねたパッケージたち。ペントアワードの受賞作品を中心に東洋製罐の容器の新しい可能性を追求したパッケージが展示されていました。
ありそうでなかった発想は、パッケージにおけるセオリーや常識を知っているからこそ生まれてくるものだと思います。

この企画展を通して、自分の仕事が担う役割を改めて確認できました。
そしてまだまだ学ばなければいけないことが山ほどありそうです。
エラーを見つけられなかったのは本当に悔しい…!
大の大人を本気で悔しがらせるほど、とっても楽しい展示でした。

P.K.G.Tokyo : 佐藤 光

REPORT

SORACHI 1984 発売記念イベント

2019.04.19

サッポロビールが新商品発売を記念して、4月8日~9日、恵比寿ガーデンプレイスにて特別イベント「SORACHI 1984 INNOVATIVE BEER GARDEN」を開催。「世界を変える」をテーマに、未来を切り拓くものづくりに取り組んでいる企業とコラボレーションし、会場を作り上げていました。

SORACHI 1984 とは 
『Innovative Brewer SORACHI 1984』は2019年4月9日にサッポロビールから発売された、「ソラチエース」を100%使用したビールです。ソラチエースは1984年に北海道で生まれ、「伝説のホップ」とも呼ばれています。


「伝説のホップってどういうことだろう?」「何か他のビールと違うのかな?」
…そんな疑問が聞こえてきそうです。さあ会場に行ってみましょう。

イベントレポート


イベントメインビジュアルがこんな感じにどーんとお出迎え。


ビールファンの皆様からのアツいメッセージがこんなに…!
それだけ期待の高い商品ということがうかがえます。

1日目は雨風が強くあいにくのお天気だったのですが、会場は人で賑わっていました。
2日目は風はあったものの、爽やかな陽気でした。幟旗がいい感じになびいてます。


今回主役のSORACHI 1984。
味は口当たりが柔らかく、香り高い。ヒノキのような香りがしました。苦味は爽やかでスッと抜けていき、ほのかに甘い後味がします。味が個性的なので好みは分かれると思います。ビールのキレや苦味の強さが苦手…という人にはぴったりだと思います。私はすぐに酔ってしまうので、ほんのちょっぴりだけいただくつもりだったのですが…。美味しくて思いの外たくさん飲んでしまいました…笑。


また、ビールと共に「大豆原料おつまみプレートセット」が提供されました。見た目もおしゃれですよね~。こちらもとても美味しかったです…!ハンバーガーは大豆原料というのが信じられないくらい、しっかりとお肉っぽさを感じました。

ちなみにプレートのお皿の形も凝っていて、リサイクルプラスチックを活用したものや、石灰石を主原料とする新素材を使用していました。世間でも紙のストローの普及などエコへの機運が高まっていますね。パッケージもエコを意識していかねば…!と思いました。



ロボット…?パワードスーツ…?!イノベーション…。

会場ではドキュメンタリームービー「このビールは、世界を変えるかもしれない。」が上映されました。ソラチエースにかける作り手たちの情熱が詰まったドラマチックなムービーに仕上がっています。このムービーを見れば、ソラチエースがなぜ伝説のホップと呼ばれているのかわかりますよ。気になった方は是非チェックしてみて下さい。
http://www.sapporobeer.jp/innovativebrewer/SORACHI1984/STORY/

SORACHI 1984 、飲んでみたくなりましたか?
P.K.G.Tokyoがパッケージデザインに携わらせていただいております。
是非お手にとって、実際にソラチエースを味わっていただきたいです。

Innovative Brewer SORACHI1984 (イノベーティブブリュワー ソラチイチキュウハチヨン)
■発売日:2019年4月9日
■発売地域:全国
■価格:350mL缶 / 250円(参考小売価格 ※消費税抜き)
■原材料名:麦芽(外国製造又は国内製造(5%未満))、ホップ
※ソラチエースホップ100%使用(米国産使用、上富良野産一部使用)
■アルコール分:5.5%

P.K.G.Tokyo:佐藤 光

REPORT

takeo paper show 2018 「precision」

2018.06.13

2018年6月1日(金)~3日(土)までスパイラルホールにて開催された
takeo paper show 2018 「precision」に行ってきました。

竹尾ペーパーショウの開催は今年が4年ぶり48回目。
私は今回が初めてのペーパーショウだったので、ワクワクしながらいざ青山へ!

会期中のスパイラルの外観はこんな感じ。


タイトルの「precision」とは精度のこと。紙の多様な性能を再検証した、新たな「精度」をもつ未来のファインペーパーの提案、というのが今回の展示のテーマでした。

会場内では、分野・年代の異なる様々なクリエイターたちによる実験の過程が、
1作品1テーブルごとに並べられていて、来場した人たちはみな食い入るようにして見ていました。

来場者は特に若い女性が多く、お子さん連れで来ている方や学生が友達同士で議論しながら、といった光景もありました。
デジタルが主流の時代においても、紙への関心はまだまだ高いのだなと感じます。

糸のように編まれたものや不思議にうごめくものなど、
「これは本当に紙なんだろうか?」と思うような不思議な作品もあり、
じっくり見ていても飽きないものばかりでした。

そして出口で来場者に配られたものがこちら。

なんと竹尾のファインペーパーの詰め合わせ!
何色か種類があり、好きなものが選べます。


会場の外では他にも、
アラベール、レザック、クロマティコといったお馴染みのものや、
竹尾の新商品や開発中の紙のサンプルなどを、
お一人様3種まで、自由にちぎって持ち帰ることが出来ました。
紙を自由にびりびりとちぎるなんて、何年ぶりの体験でしょうか。


このようにバッグが透明なため、来場者が自由に選んでちぎった紙が、
それぞれ違った柄になり、世界にひとつだけのバッグへと変身するという、
紙ならではの表情が見られるとても良いお土産でした。

また、1Fでは日本民芸画家の柚木沙弥郎さんの展示もやっており、
一度に二度美味しい展示会となっていました。

展示もお土産も盛りだくさんな今年の竹尾ペーパーショウ。
秋には大阪でも開催予定がありますので、お近くの方は足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

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takeo paper show 2018 「precision」 大阪展
会期:2018年10月5日(金)~7日(日)
会場:グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル イベントラボ
特設サイト:http://www.takeopapershow.com/

P.K.G. Tokyo:横田 藍

REPORT

富山美術館にて開催されている「デザインあ展」に行ってきました!

2018.05.15

2018年3月21日(祝・水)~5月20日(日)まで
富山美術館にて開催されている「デザインあ展」に行ってきました!
私は2012年の六本木21_21 DESIGN SIGHTでのデザインあ展にも行ったので
どんな違いがあるか、また新しい富山美術館も楽しみに向かいました。

新しい富山美術館の外観、とてもきれいです!

さっそく中へ、
富山美術館でのデザインあ展は大きく分けて3つの部屋がありました。
A.観察の部屋
B.体感の部屋
C.概念の部屋

まず、A.観察の部屋にて

「抽象度のオブジェ」
いつも見慣れているマークになるまでのオブジェ。

「アン・ドゥ・トロワ」
これ、何をしている動作かわかりますか?

正解は卵を割っている姿。
これを見ながら、同じ動作をしてもわかりませんでしたが
近くにいた子供たちが「卵割ってるー!」なんてバシバシ正解を出していました。
さすが、子供は頭が柔らかいなあ!と思います。

「目には『め』を歯には『は』を」
この写真、実はよーく見ると

目には「め」を耳には「みみ」になっている!!

続いて、B.体感の部屋。

「『あ』のテーマ」
360°壁一面に映像が流されていて、動く「あ」を追っていると
気づいたら自分がくるくると回っていることに…。

最後の、C.概念の部屋。

「ト~~イレ」
ずっと向こう側まで続く、なが~~い猫ちゃん。かわいい。

「しくみ寿司」
普通の回転寿司をアレンジした映像作品。
私は偶然寿司が一番好きです。

今回のデザインあ展も子供連れが多く、
展示を見るたびに子供達が「あ!こういうことだ!」と発見の多い展示でした。
普段の生活にありふれているマークや空間も、
視点を変えると「あ」と驚かされる面白さを
今回の展示で改めて感じます。

ちょっと視点を変えてモノを見ると面白いものが生まれる。
世の中のモノの見え方がちょっぴり変わりそうな予感です。

子供でも大人でも楽しめる展示なので
東京の展示でも是非足を運んでみてください!

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● 2018年3月21日(祝・水)~5月20日(日)まで
富山美術館
● 2018年7月19日(木)~10月18日(木)まで
日本科学未来館
● 公式ページ(http://www.design-ah-exhibition.jp/

P.K.G. Tokyo:横田 栞

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