P.K.G. MAGAZINE | パッケージを考える

NEWS

2021 日本パッケージデザイン大賞に入賞・入選いたしました

JPDA主催「2021 日本パッケージデザイン大賞」にて弊社作品4点が入賞・入選いたしました。

家庭用品・一般雑貨・医薬品部門 銀賞受賞
STIIK

ー「カトラリーのような箸」がブランドコンセプトであるSTIIKは、世界各国の料理を取り込む現代日本の食生活にふさわしいカトラリーになろうとしています。通常の箸は一膳2本を単位としますが、STIIKの細長いパッケージから覗いているのは一本のスティック。箸の概念を少しずらしたパッケージデザインによりコンセプトを表しました。

ad. 天野 和俊
pl. ワダ ケンジ
pd. 鷲見 栄児 

アルコール飲料部門 銀賞受賞
UMESHU THE AMBER

ー琥珀色のヴィンテージ梅酒“UMESHU THE AMBER”は、厳選された梅を使用し熟成させた、年代ごとに異なる味わいの3種の梅酒のセットである。ボトルを包む白いラベルは、梅酒の産地の紀州文化の一つである和服の染め型紙の梅文様。白いラベルの繊細な窓から、琥珀色の液体を目でも味わうことができる特別なデザイン。

ad. 天野 和俊
d. 白井 絢奈
prd. 福永紙工株式会社
cl. リカー・イノベーション株式会社


また、現在受賞を記念してUMESHU THE AMBER Limited EdditionがKURAND様より発売中です。是非こちらも合わせてご覧ください。
https://kurand.jp/pages/umeshu-the-amber

食品部門 入選
じっくり、乾燥鍋。いしかり

ー石狩鍋にとってのシズル感とは、鮭であり、北海道である。詰まるところそれは熊であり、土鍋である。アイデアがシンプルで明解であればあるほど、定着が全てである。直筆でなければ描けない線を引くことで生まれるキャラクター性こそがシズル感となる「じっくり、乾燥鍋。いしかり」は「乾燥鍋」ブランドの“始まり”のデザインと言える。

ad.&d. 天野 和俊
d. 佐藤 光
cl. 株式会社ショクラク


アルコール飲料部門 入選
SORACHI 1984

ーSORACHI 1984は、伝説のホップ「ソラチエース」を使用した個性あふれるビールのシリーズ。パッケージ正面にはこのビールの個性であるホップをシンボルとしてイラストで表現。味わいが記号的に蘇る、シンプルでアイコニックなパッケージデザインである。ホップのイラストにはSORACHI ACEの「A(エース)」が隠れている。

ad.&d. 柚山 哲平
cd. 新井 健司
cd. 田中 章生
d. 白井 絢奈
cl. サッポロビール株式会社


たくさんの方々のお力添えあって今回このような賞をいただけたことを誠に感謝しております。
必要とする人に必要なものを橋渡しするためのデザインがパッケージの目的であり、賞をいただくためだけに作っていくわけではありません。しかし賞をいただけることは、店頭に並ぶことや広告を出すこととはまた違ったアプローチにつながると考えています。ただの情報の伝達手段に止まらず、様々な方に共感いただけるパッケージをこれからも作り続けていきたいと思っています。

NEWS

すだち酒スパークリング「あわす」がKURANDより発売されました

モデル・ブランドディレクターとして活躍する村田倫子さんプロデュースのすだち酒スパークリング「あわす」。
こちらの制作に弊社も携わらせていただきました。

のみきりサイズの缶はイラストを大きくあしらっています。
泡とすだちに包まれたゆったりとしたどこか浮遊感ある空間。
お酒を飲んでいるときの開放的をイメージして描き、レトロな雰囲気の佇まいに仕上げました。

こちら「あわす」の名の通り、食事と合わせても美味しいお酒です。
甘すぎない心地の良い味わい、炭酸とすだちの酸味でさっぱりといただけます。

セット販売に加え、1本単位からも販売開始となりました。
頑張った自分へのちょっとしたプレゼントとして、「あわす」で自惚れ時間を過ごしてみませんか?

すだち酒スパークリング あわす
パッケージ:270 ml 缶(単品 / 6本入り箱 / 24本入り箱 )
品目:リキュール(発泡性①)
アルコール分:6%
製造元:本家松浦酒造場
販売者:リカー・イノベーション株式会社

販売サイト KURAND
https://kurand.jp/products/awasu?variant=32307132366903

公式サイト
https://awasu.me

P.K.G.Tokyo 佐藤 光

COLUMN

日本のパッケージ記号論

2020.09.11

“日本の包みは、運ばれる品物の一時的な飾りではなくて、もはやそれ自体が品物なのである。包装紙そのものが、無料だがしかし貴重なものとして聖化されている。包みが一個の思想なのである。”

“しかし、たいていは幾重にも包まれたこの包みの完璧さそのもののために(人はなかなか包みをときおおせない)、包みが包み込んでいる内容の発見を包みはさきへ押しやる——そして包み込んでいる内容はおおむね無意味なしろものである。つまり、内容の不毛が包みの豊饒と均衡がとれていないという、そのことこそが、まさに日本の包みの特殊性なのである。”

“つまりは相手に贈る肝腎なものは、包み箱そのものであって、包み箱の内容ではない、といった感じである。”

“つまりは、包み箱は表徴の役目を果す。遮光カバーとして包み、仮面としての包み箱は、それが隠し保護しているものと、等価である。と同時に、もしも次の言いかたをその二重の意味、金銭と心理の二つの意味にとっていただけるならば、包み紙は《内容と代替可能》ということを示すものである。包み箱が包みこみ、そして包み箱が表徴するもの自体は、ひどく長い時間、《もっとあとに置かれる》ことになる、あたかも包みの機能は空間の中に保護することではなくて、時間のなかに運びこむことでもあるかのように。”

“包みの中にある内容、表徴のなかにある表徴されるもの、それを発見することは、それを棄てることなのである。蟻のようなエネルギーで日本人が運んでゆくものは、つまるところは空虚な表徴である。”

Roland Barthes (1970). L’Empire des signes
(ロラン・バルト 宗 左近(訳) (1996). 表徴の帝国 ちくま学芸書房)

ロラン・バルトはフランスの思想家、記号学者です。1966年から1968年にかけて数度来日、その経験から西洋の文化のあり方と日本の文化のあり方を、「記号(表徴)」をキーワードに論じています。西洋の文化、思想が意味を重んじるのに対して、日本には意味を隔たった「記号」をもつ文化の国として様々な例を取り上げています。

例えば、皇居について「空虚な中心」として、いかにも都市の中心でありながら誰からも見られることのない皇帝の住む御所として書き記しています。また、西洋の場末のビリヤード・マシンは打ち出した玉を機械をゆすり、進路を調整することに重きを置くことに比べ、日本のパチンコは打ち出した玉の軌跡に全てを委ねるものとして紹介されています。そのあり方は日本の芸術家の、線を一気に引くような、決して矯正のないあり方が根源的絵画の原則と同じであると論じています。

そんな文化論の一節に、冒頭で引用した日本の「包み」があります。日本の包装は、ささやかなお土産のお菓子であってもまるで宝石と同等のように豪勢である、そんな豪勢な包装のお土産を修学旅行の学生たちが容易く持ち歩いていると著者は述べています。そして何重にも包装され、まるで開封のときを遅らせるかのようです。包み箱の価値と中身の価値は等しく、また包みを開けることはその包みの「表徴」を棄てることだとも論じています。

人にものを贈るとき、誰しもパッケージを吟味したことがあるのではないでしょうか。何色かから選べるリボンを相手の好みを想像して選んだり、少し高級な箱に入れてもらったり……逆に貰う立場の際は、素敵なパッケージに期待を膨らませたり、そっと開けるときのワクワクした気持ちは誰しも味わったことがあるかと思います。全ては「贈る」という行為の演出であり、相手との気持ちや時間の共有のための手段としてパッケージが用いられています。贈る行為に込めた思いやりが、ロラン・バルトの論ずる「意味を隔たった記号としての包み」という日本独自の文化を形成してきたのではないかと思います。

現在、世界ではもちろん日本でもパッケージの環境配慮が進んでいます。プラスチックから紙への移行やラベルレスの商品の登場など、パッケージの文化はどんどん変わっていくことになりそうです。もちろん過剰な包装の見直しや、素材への意識のアップデートは進めていくべきだと考えています。パッケージのデザイナーとして、環境配慮には取り組みつつパッケージに潜む日本の文化までを無くしてしまわないよう、心に留めていきたいと思います。

P.K.G.Tokyo 白井絢奈

2020年7月1日からプラスチック製買い物袋の有料化が始まりましたね。
今回は、この背景にある海洋プラスチック問題についてご紹介していきます。
現在、地球上では年間800万トンものプラスチックごみが海へ流れ込んでおり、既に世界の海には合計1億5000万トンも存在していると言われています。このごみたちによる海洋汚染や生態系に及ぼす影響を問題視したのが「海洋プラスチック問題」です。水深4800mの深海にも数えきれないほどのレジ袋などが漂い続けているそうです。これらの存在は何年も前から危険視されていますが、ここ最近はその注目度がさらに高まっています。というのも、このままのペースでごみが排出され続けると、2050年には海にいる全ての生き物の重量よりプラスチックのほうが重くなると予測されているからです。

 

マイクロプラスチックとは

最も厄介なのが「マイクロプラスチック」。
これは5mm以下になったプラスチックごみを示します。
マイクロプラスチックは発生のタイミングと作られ方の違いで2種類に分けられます。
一つは「1次マイクロプラスチック」。
5mm以下のマイクロサイズで製造されたプラスチックを指します。洗顔料や化粧品、歯磨き粉、洗濯洗剤の中でプラスチック製品(スクラブやマイクロビーズ)が使用されているものに含まれ、排水などを通じて自然環境へと流出します。
もう一つは「2次プラスチック」です。
ペットボトルやゴミ袋など、大きなサイズで製造されたプラスチックが河川や海へ流れ、水流や衝突、紫外線の影響で劣化し細かく砕けマイクロサイズになったものです。
屋外に放置されたり、ポイ捨てされたりした身近なプラスチック製品が劣化し、簡単に生まれてしまいます。
これらのもとになる原料は「ポリスチレン」「ポリエチレン」「ポリ塩化ビニル」「ポリプロピレン」。まとめて「4大プラスチック」と呼ばれています。
食品用トレーや洗剤ボトル、レジ袋、ラップ、ペットボトル、包装フィルム、衣服、ストロー、文具…。どれも私たちの生活の中で様々な形となって使用されていますね。

 

生態系への影響

マイクロプラスチックになる前の大きなごみは回収が可能のようですが、マイクロプラスチックは一度海洋流出すると自然分解されることなく半永久的に海に溜まり続けてしまいます。そしてこれらは海洋中の有害物質が付着しやすい特性を持ち合わせています。

目には見えない微粒子のため海洋生物が体内に取り込みます。体内へ取り込まれたマイクロプラスチックと有害物質は体外へも排出されますが、一部が体内へ蓄積される可能性があるのです。
大きなプラスチックごみについても海洋生物へ被害があります。餌と間違えて飲み込んだものの、体内で消化することができずに腸閉塞などを起こし死んでしまう事例も散見されます。過去には鼻にストローが刺さったウミガメの写真が話題になりましたね。あまりにショッキングな画像のため今でも鮮明に覚えています。
生き物はプラスチックを消化できません。海洋生物にとって生死に関わる危険な存在です。

この脅威は海洋生物に限った話ではありません。
私たち人間も知らず知らずのうちに、毎週5グラム、クレジットカード1枚分ものマイクロプラスチックを体内へ摂取している可能性があるといいます。
大気中や水道水、ボトル入り飲料や海産物、食卓塩などあらゆるところから検出されているそうです。

海洋生物や人々に悪影響を及ぼす海洋プラスチックごみ。
漂流し続けるごみを減らすために世界中でこの問題を解決すべく取り組んでいるということです。
レジ袋の有料化はこの問題に対してあまり効果がないのでは?という声もありますが、私は今回の有料化がこの問題について知ろうとするきっかけになりました。立ち寄った書店でも関連書籍が並べられており、その棚の前で本を手に取る人の姿がありました。根本的な解決にはならなくとも、世の中の関心が高まったという点では効果があったのではないでしょうか。

 

4つのR

レジ袋を使わないこと以外に個人でできる取り組みとして、4Rについて調べました。
よく知られる3R「Reduce」「Reuse」「Recycle」に加え、「Refuse」を加えたものです。
幼い頃から耳にしてはいましたが実際生活の中で意識する機会が少なかったので、自分のおさらいも兼ねて効果の高いものから順に具体例と共にご紹介いたします。

「Refuse」(断る/拒否する)
ごみになり得るものはもらわない/買わないようにすること
・レジ袋の利用を断り、マイバッグを使用する。

「Reduce」(削減する)
ごみを減らすこと
・食品を無駄なく食べ、残さない。
・使い捨てのものは避けて、長く使える製品を選ぶ。(充電式の電池/詰め替えて使える製品)
・簡易包装の商品/量り売り を選ぶ。
・洋服や装飾品のレンタルサービスを利用。

「Reuse」(再使用する)
一度使い終わったものでも、使える限り繰り返し使う。
・着古した服をリメイクして使用する。
・空き瓶を回収してもらい、洗浄処理。再び瓶として利用。
・修繕して長く使う。
・フリーマーケットやリサイクルショップの利用。

「Recycle」(再生利用)
紙やペットボトルなどを再び原料として利用し新たな製品にします。
主にマテリアルリサイクルを示します。
・資源ごみの分別回収への協力。
・リサイクル製品を積極的に利用する。

いきなり全てを実行するのはハードルが高いので、私はマイバッグやマイボトルの利用といつもより丁寧にゴミの分別してみるところから始めようと思います。

 

日本のごみ問題

数日前、一人の高校生が「過剰包装をやめて欲しい」と訴えて、集めた署名を大手菓子メーカーに届けたことが話題となっていました。
日本の過剰包装については海外でも問題視されており、日本は一人あたりのプラ容器包装の廃棄量が世界2位の、プラごみ大国だそうです。実際日本のプラスチックごみは国内で抱えきれないほど。
日本は年間900万トン以上プラごみを排出しています。容器包装関係だけでも450万トンほどあります。排出されたごみの80%は有効利用してるので「リサイクル先進国」と言っていますが、この有効利用は「サーマルリサイクル」と「海外輸出」のこと。サーマルリサイクルとはプラごみを燃やした熱を利用することです。海外ではサーマルリカバリーと言い、リサイクルにはカウントされません。
もう一方の海外輸出は、プラごみを「資源」として扱いアジアの途上国へ輸出します。
ごみ発電所の中で燃料として利用されるか、再生プラスチックになるのですが、汚れたプラごみはリサイクルにまわせない場合が多く、利用できなかったものに関しては捨てられます。「有効利用」の名目で輸出した日本からのごみが、結局他の国で自然環境に投棄されている、ということになります。
主な輸出先は中国や東南アジアでしたが、2017年に中国が廃プラの輸入規制を始めたのを皮切りに、アジア各国もこれに倣いました。こうして日本の廃プラは行き場をなくしているのです。
あと20年で国内最終処分場の残余容量が尽きるとも言われています。
こうした実態を受けて、日本政府が策定した「プラスチック資源循環戦略」では2030年までに使い捨てプラスチックの排出量を25%抑制する目標を掲げています。
パッケージ業界でもキットカットが紙製のパッケージになるなど動きがありましたが、今後こうした取り組みが増えていくのではないでしょうか。

過剰包装について訴えた高校生の話に戻ります。彼女の行動が称賛される一方で、企業側の応対も素晴らしく企業姿勢を評価する声が寄せられていました。
菓子メーカーは公式サイトにて、包装の必要性とこの企業が行ってきた環境問題への取り組みについて見解を示したのです。
このやりとりはSNSやネットニュースにより広く拡散され注目を集めました。

 

おわりに

パッケージは食品の保護や安全性の確保という重要な役割を持ちます。
デザイナーとして商品の情報や魅力を伝えデザインすることに日々やりがいを感じますし、消費者としても素敵なパッケージに巡り合うとつい嬉しくて買ってしまいます。
しかし中身を使用した後はごみとして処分されるのも事実です。あんなに心を打たれ「可愛い〜!」と手にとったものも、使い終わったらダストボックスへ…。心がキュッと痛みます。
パッケージデザインに携わらせていただく立場として、この問題について書くことを悩みました。
ただ作る立場であるからこそ知っておきたいと思い至り、雑然とした文章ではありますが今回記事として書き残しました。

今回の記事でご紹介した内容は問題のほんの一部だと思います。まだわからないことだらけです。
一回きりの関心で終わることなく、継続して調査していく所存です。

 

参考文献

脱プラスチックへの挑戦 持続可能な地球と世界ビジネスの潮流
堅達京子 +NHK BS1スペシャル取材班 山と渓谷社 2020

 

文章/イラストレーション
P.K.G.Tokyo 佐藤光

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サッポロのノンアルコールビール「うまみ搾り」が発売されました。

サッポロのノンアルコールビール「うまみ搾り」が発売されました。

6月23日に発売されたサッポロのノンアルコールビール「うまみ搾り」。こちらも弊社でデザインに携わらせていただきました。
スーパーでビール棚を眺めていると、ノンアルコールカテゴリには「内臓脂肪を減らす」「お腹周りの脂肪を減らす」「糖質ゼロ」など健康志向な商品がたくさん並んでいます。そんな中登場した「尿酸値を下げる」、うまみ搾り。尿酸値を下げる機能はノンアルコールビールテイストジャンルでは世界初。大麦エキスを使用したビールらしい美味しさに、尿酸値を下げる旨み素材のアンセリン。豊な旨みと、すっきりした飲み口に、うれしい機能まで備わりました。アンセリンとはマグロやサメなど長距離を高速で泳ぐ回遊魚の筋肉中に含まれているペプチドで、尿酸値を下げる働きがあるとされ、近年注目されつつある成分です。
パッケージでは、美しい青のグラデーションが金色の麦を際立たせ、ノンアルコールでありながらビールテイスト飲料としてきちんと美味しいことを表現しています。
尿酸値が高めの方にはとても嬉しい商品。ノンアルコールなので、お家で昼間から楽しめてしまうのも良いですね。

サッポロ うまみ搾り
パッケージ:350ml缶・6缶パック
品目:炭酸飲料
アルコール分:0.00%
発売日・地域:2020年6月23日・全国

P.K.G.Tokyo 横田栞

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