P.K.G. MAGAZINE | パッケージを考える

REPORT

P.K.G.オフィスにて、でざいん我流塾が開催されました!

2019.10.23

830日、P.K.G.Tokyoオフィスにて初めての「我流塾」が開催されました。「我流塾」とはデザインする上でデザイナー達が言葉にできない感覚的な技術、つまり我流をシェアする勉強会。とは言っても勉強会ほど堅苦しいものでなく、特にデザインの現場にいる若手たちにとっての新しい交流の場になればと考え企画されました。そんな我流塾がどんなものだったか記事にしてご紹介したいと思います。今回は、P.K.G.ディレクターの天野和俊が「ゼロからのロゴタイプ」をテーマに、キャンプ好きの為のアウトドアブランド、TARP to TARPのロゴができるまでの一部始終をご紹介しました。

TARP to TARPとは、その名の通りタープとタープがつながる様に人と人がつながるブランド。横浜・馬車道にショップを構えるカフェではキャンプ好きな人、これからキャンプを始める人、いつかキャンプををやってみたい人そんな人たちが出会い、キャンプの楽しみを分かち合える空間です。オーナーの須山友之さんはデザインコンセプトの会社「デザインの研究所」を離れ、昨年DISCOVERY株式会社を設立しました。DISCOVERYとは、彼の愛車ランドローバーディスカバリーを由来としているそうです。

さて、本題のロゴ作りについて。まずアウトドアブランドの仲間入りをするために市場のアウトドア系ブランドロゴのリサーチから始まります。すると、「シンボルマークやエンブレムのあるものが多い印象」や、「太い字や力強い字が多い印象」など、いくつか傾向が見えてきます。

このブランドにはどんなシンボルマークが良いだろうか。いや、果たして、シンボルマークというものが必要なのだろうか?という疑問から、あるイメージにたどり着きます。それは、LOVE/Robert Indiana、DESIGN LETTERS/Arne Jacobsen、House Industriesといった、文字そのもののシンボル化。言い換えれば、文字をキャラクター化するというアイデアです。

そこでキャンプの無骨なイメージからスラブセリフというカテゴリーのフォントに着目し、そのうちの一つMemphisで組んでみると、悪くはないけれど文字の域を出ないという印象。眺めながらオリジナルロゴフォントへの道筋をイメージします。

このオリジナルフォントを作る時は、まず芯から作ったそうです。骨格を作ってから線に太さをつけます。線の太さは「ある文字の1.5倍の太さ」文字と文字との感覚は「ある太さの4分の1」などとルールを作ります。そういった細かいルールを作ることで、シンプルでありながらロゴの完成度がぐっと上がります。赤字の骨格だけ見ると、とてもシンプルに構成されていることがわかります。

また、同時にDISCOVERYのロゴも作りました。一見すると超極細スーパースリムスラブと超極太スーパーボールドスラブ。見え方は異なりますが同じ仲間として印象を抱けるのは、母体となる骨格が同じ構造であることに言えます。

こうして作られたロゴフォントで様々なグッズ展開をしました。今までに展開されたTシャツやソックス、コーヒー袋にメニュー表…etc。我流塾でも実際に手にとって見ていただきました。数々のグッズ類のデザインも、フォントを組んだだけでしっかりとキャラクターが出てくるのはやはり緻密に設計されたロゴのおかげだと考えられます。

この後、他アイテムグッズも見ていただきながら交流会も開催しました。初めて出会う方同士も多い場になりましたが、どんなロゴを作った事があるか?あるいはどうやってロゴを作っているのか?など同じデザイナー通しとても盛り上がりました。ブランドロゴができるまでの一部始終をご紹介しましたが、いかがでしょうか?ふらっと外に出てみると、このお店のロゴはどんなフォントが母体になっているのだろう?何故このフォントを選んだの?オリジナルからどんな意図でどんな処理をしたの?とアウトドア系に限らず、世の中のロゴフォントの見え方が変わってきそうです。今後の我流塾でも、言葉にして伝えるのは難しいもどかしさを続々シェアしてゆけたらと思っています!

P.K.G.Tokyo : 横田栞


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